『硫黄島からの手紙』を観た
クリント・イーストウッド、いい仕事しましたねぇ~。『硫黄島からの手紙』『父親たちの星条旗』と二本柱で作った構成にも頭が下がるし、戦争をどちらの国の側からも描きたかった・・・という気持ちには正直ありがとう、と言います。(もちろんアメリカ人がどれほど興味を持ってこの映画を観ているのか、は謎ですが・・・)クリントは日本軍率いる栗林中将の必至の攻防に興味を持ったとありますが、人間としての彼を描くという意味では大成功ですね。ノミネートされまくりながらも惜しくもアカデミー賞は逃しましたけれど、戦争はどちらの側にとっても悲劇であり、みなそれぞれ国には待っている家族がいるのだ・・・という当たり前のことを「手紙」をモチーフに繊細に描写していたと思います。
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全編セピアカラーなのですが、日の丸や火炎の赤だけが目に焼き付きます。



現代では失われつつある伝達手段である「手紙」。戦時中でも郵便可能だったのが信じられないのですが、過酷な状況下にあってそれぞれが家族を思い、良き時代に思いを馳せて書き綴るという行為。兵士仲間同士でも心許されない日々に、それぞれが家族からの手紙を胸に「生きて帰りたい」と願い、そしてホントは「帰れない」と確信しつつも希望を書き綴る。そして
こうやって見てしまうと、どう頑張って無理でしょう・・・という戦だったわけですが、それぞれが手紙に託した思いは運よく残った。特に栗林が子供たちに向けて描いていた絵手紙は絶品。愛に溢れている。
「玉砕総指揮官」の絵手紙
栗林 忠道 / / 小学館

史実上、玉砕全滅されたと知ってはいたけれど。その中身はまったく知らずにいたのが恥ずかしいことであります。栗林中将とバロン西のような、最期まで潔く死力を尽くした方達がいたということをアメリカ人に教えてもらったわけでした。投降するよりも自決をヨシとした日本兵の複雑な気持ちや、上部との軋轢からdropoutしてしまった中村獅童演ずる大尉も人間らしいと言えば人間らしくて・・・。特に二宮くん演ずる一等兵が友の死など絶望の中からも栗林との触れあいの中で希望を見いだしていく様子は素晴らしかったです。男が惚れる男、栗林なのでしょう。

栗林の人間としての魅力も描かれていました。そしてリーダーとして備わった頭の良さと人間力には脱帽。アメリカでの生活経験から、日本の軍人として生きるにはおそらく相容れない部分が多々あっただろうと察しますが、分をわきまえながら最大限の合理的に動く部分と日本人として軍人として忠誠を持って生きる潔さというのを垣間見ることが出来ました。リーダーは作られるのでは無く、自ずからの力がリーダーと認められて自然に人が従っていくものなのだな・・・とつくづく思ったのであります。うむ。

絶賛されている二宮くん、ヨカッタけど・・・。個人的には加瀬亮にもエール。エリート憲兵が左遷で硫黄島最前線へということも象徴的。その奥底に抱えた暗さがいい。うまい。そして当然ながらも渡辺謙、伊原剛志はあっぱれです。アメリカ人にも負けない体躯がありがたい。(笑)
Top▲ | by bonneidee | 2007-03-10 22:43 | review
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