『吉原御免状』を観た
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原作があったのですね……。と今知った私です。どうりで、なんだか最初っから話がしっかりと見えやすい出来映えだったのか、ふむ。そして「御免状」の意味も、わかんないよねぇ。読んでいないと。

d0026603_2059205.jpg宮本武蔵に赤子の頃から山の中で育てられ、剣の道ひと筋の誠一郎は純粋無垢で、人さえ切ったことが無かったのに、いきなり色街に出てきちゃうっていう設定が最高におもしろい。その何も知らない純朴さと山だけを愛してきた男が、やたらと腕がたつし、人柄が良いという設定で初めて会うどんな男や女からも好かれるの。ま、実は帝の子供だったという血筋の良さがその理由ですかい、という伏線があるのですけれども。そんな男を演じられるのは、はて……やっばり堤真一だったのね。これはもう他に誰も考えられないくらい、はまっていた。格好良い、とぼけた純粋さがある、でもとにかく腕がたつ、男も女もほっとかねぇ~~~

堤真一さんは実は新感線で観るのが3度目、あとは別の作品でも何度か。やっぱり追いたい役者だ。「欲望という名の電車」「アテルイ」(02)、「野獣郎見参」「贋作・桜の森の満開の下」あら、実は舞台の彼をずっと追っていたんか、私!

いやはや、でも今まで観た中で一番サマになっていた。殺陣も美しかった、野蛮でうるさく無い殺陣。宮本武蔵に仕込まれただけあるような(どんなだよっ)動きがね……ホントよ。



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さて、今回は語りだすと長くなるような興味深い歴史上の話がてんこ盛り。柳生一族の興亡とか、その一族の長に多大なるコンプレックスを持った男義仙(古田新太)が率いる裏柳生の話とか、女も自立するための吉原でのお仕事を作ったなどなど……。もっと深く知りたくなったので、これはもう原作を読むしかないのだろうなぁ。(原作のファンはそれこそすごいらしくて、トーマを舞台でやんのかい!くらいのいやそれ以上の話だったそうですが……)

青山劇場のまわる舞台をうまく使っていました。吉原の街を要塞のように作っているという見せ方とか、黒の格子の入った部屋を継ぎ合わせて、赤でスパイスをきかせた華やかさ。さすがに色街な雰囲気であります。下手に作った花道風も生かされていたしね。外の風景の時は、ちょっと近未来にもファンタジーチックにも見える雰囲気でしたし。とにかく、仰々しくなくてキレイでした。(ほら、阿修羅みたいにいきなり城とか……笑えたから)
そしてなにしろ、私の好きなbonide色である赤紫がポイントだったのが最高に気に入りました。普段着の誠一郎が着ていた着物が、ちょっとアテルイっぽいんだけど、つまりアイヌっぽいステッチやリボンをきかせているような着物なんです。後半はおひょいさんも着ていたなぁ。あれ、欲しいよ~~~

さて、色街です。男は女を知ってなんぼぞよ~~~みたいな艶艶した話もてんこ盛りです。そしてかなりエロいし、えぐいし……ってな展開もあります。18禁どころか、うぶな人は見たらダメダメななかなかどうしてな新感線でした。だから、おちゃらけた唄と踊りが無くて幸い。私の中ではいままで観た「ベストオブ新感線」ですわ。落ち着いたオトナな風情がヨカッタ。誠一郎が愛する女演じる勝山(松雪泰子)がいたぶられるえぐいラストはちょぃと引き引きでしたが。

誠一郎は、ことあるごとに「僕はいままでなにをしてきたのだろう(どう生きてきたというのか)」と問うのであります。壮絶な目に遭い、女を愛することを知り、そして失うことも知った彼は色街を去ろうとするのですが。。。そう、愛するのは山だけ自然だけがいい。山で暮らすのが自分には合っている、という結論をね。でも、そこで街の人々が思い留まらせる。「色街だけど、ここも山とおんなじ。どこに行っても生きるところには楽しみもあれば悲しみもあり、変化があるのだ」(みたいなこと言っていたけど、きちんとしたセリフは覚えていません)

ま、なにしろ私にとってぐさりと来た言葉は。「どんな男の心にも、女の心にも悪(ワル)は住む」という勝山の言葉ですね。そう、色街で裏柳生のくのいち(文字が出ない)として暮らした女だけに、人間の弱さも悪もすべてを知り尽くしたといった感じ。これも松雪泰子しかありえないっ。淫靡だけど清潔、ワルだけど純粋。女って怖いけど、深くてステキと思わせます。それを対比させると、なんて誠一郎なんて単純で簡単なんだろう……なんちって。こんな女を知ったら、もう他には行けませんね、絶対。それなりに支えてくれる女はたくさんいる誠一郎ではありますけどね。ハイ。もてるんで、とりあえずご安泰。

おひょいさん、出番がやたら多いのですよ。かなり重鎮だし、家康役なんかもやっていたし。だからドキドキしちゃうセリフシーンの展開なんだけど、どうってこと無いのよね、あの貫禄と存在感。心配ご無用でした。古田さんもかなりの重鎮ですし、新感線の殺陣は、彼がいるからこそですね。堤さんだけだと、ちょいと重みに欠けちゃう部分があるんですわ、実は。でも古田さんと組んでいるから成り立っていたりもします。京野ことみさんもかわいいだけなんだと思っていたけど、なかなかどうして艶っぽい。惚れて支えるけなげな2番手花魁を演じておりました。高田聖子さんも生肌あらわに、おババ役とはいえいいアジだしてましたねぇ、いつものように。今回は七変化な顔は無かったけどね。唄っていない右近さんとか、眼鏡のない粟根さんとか、動いていない橋本じゅんさんとか、そのままおかしい梶原善さんたちは存在だけで結構おもしろかったけど、ま、今回はそこそこシリアスでお馬鹿なおちゃらけ無くても新感線でした~ということで。

原作を読まないとわからない日本語が満載。やっぱり読もう。気持ち的には、柳生一族の話がおもしろそうだな、と。夜の部が6時スタートで無かったから、もう一度見に行きたいと思わせる劇でした!!!!ブラボー!!!!これは再演決定かな、と勝手に思われありんす~~

吉原御免状
(隆 慶一郎 / 新潮社)

堤&古田インタビュー
劇団☆新感線
Top▲ | by bonneidee | 2005-10-02 21:18 | review
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