『贋作・罪と罰』を観た
野田地図第11回公演『贋作・罪と罰』を観てきました。
(シアターコクーンにて。1/20(金)19:00開演。B席はしっこ。)

原作の戯曲化と言い切っていいのか?そう言ってしまうと、原作のほうが断然おもしろいですね。(『白夜行』はテレビのほうがいいけどさあ、比較するのはひどすぎますね

もともと根底にはキリスト教的な題材としてのテーマがあるから、ついソーニャがマリアで、ラザロの復活を読み聞かせるシーンはあるのかなとか、罪は償えば人間は新生出来るという断罪がテーマなイメージが大きい物語。ソースが偉大だから、どういじるのだろうか…そんな興味でのぞみました。(そういう意味では『白夜行』も断罪ストーリーっすね)
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実はラスコーリニコフが大好きなんです。テロリストは嫌いですが・・・・。ホントのきっかけはとってもシンプル(貧困)で、思想という大義名分を振りかざして心を落ち着かせてはいるけど、犯した後の「ふつうの人間としての葛藤&罪の意識でずたずたになってしまう」心理描写がいいんだもの。だから英だとやや威厳がありすぎ、元気も良すぎてしまった感じですわ。(いつもの発声が深津ちゃんとだぶるし……大竹しのぶバージョンを観てみたいですね。あ、でもこちらも強そうな感じになるねぇ)

ソーニャにあたる役である才谷がむちむち古田様なので…(爆)これもまたイメージがめちゃくちゃ狂うのですが、そして幕末の坂本龍馬ですか。ふぅむ、まんまになっちゃうけれど宇梶さんの方がヨカッタんでは?と。うん。なんか逆だな。古田さんがスヴィドリガイロフ?で、宇梶さんがソーニャ担当?あぁぁ、でもなんだかやっぱり絵的には違うなぁ~~~。うむ…。顔はすごかったけれど、私としてはもっと陰湿ないやなオヤジっぽくしてもヨカッタと思う>宇梶さん。がんがん追いつめる役であるはずの役人・段田安則さんも、やや陰薄。

役者の唾が飛ぶのがよく見える円形劇場というか、舞台奥も観客があるスタイルだったのですが。反対側向いていると、声がまったく聞こえない。しかもみんな聞こえにくいんですわ。放蕩パパである中村まことさんだけはきちんと聞こえる。ロシア人は饒舌でもともと台詞が長めなドフトエフスキーものですけど、野田さんもいつも台詞長めですね。今回は言葉遊びはなくて無駄なし(爆)、という感じでの2時間でした。

「大地にひれ伏し接吻し、自分の過ちをさけぶシーン」…
もっと期待していたのです。ものすごく好きだから。もともとのコクーンの奥が深い舞台で広々としたロシアの広場をイメージしてやって欲しかったような気がします。

舞台を囲んで、そのとき出ていない役者がまわりに座って音声さんになっていたり、所在なく座っているのを観ているのはおもしろかったです。みんなが一体となって舞台を作っている。

ひびのこづえにしては、落ち着いた色合いの今回の舞台衣装。袴が人それぞれでラインが違う。松たか子が一番格好いいね。古田さんの洋服のブレザーの後ろが一番気に入りました。フードも。(笑)着物姿のおばちゃん役が最近多い野田さんのヅラもステキでしたわ。

龍馬だから京都で惨殺なんでしょうけれども。なんかあそこは、解せない部分かな。その後の英の未来がちょっと悲しくなってしまったから……。

雪のシーンヨカッタです。あと、プチプチシート?を多用してのシーン展開。ライトの使い方。お金が降ってくるシーン。単純に美しいし、感動的でした。シンプルだけど、わかりやすい小道具たちの使い方。さすがですね。

野田さんの作品では、とにかくオリジナルで斬新だった『オイル』が一番好きなので。もっともっとのびのびと彼の主張が思いっきり描いているような次回作を期待しています!
まだ大阪公演もあり、先が長いです、ね。声が枯れている方もいたので頑張ってくださいませ。

罪と罰
手塚 治虫 / 講談社
Top▲ | by bonneidee | 2006-01-21 21:53 | review
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